店長@田辺のカニ買い付け日記 in カナダ

カナダ東部にあるニューファンドランド島の沖合は、メキシコ湾流とラブラドル海流がぶつかる潮目で、「グランドバンクス」と呼ばれる世界屈指の好漁場があります。
ここでは4月中旬ごろからカニ漁が始まり、決められた漁獲枠がなくなるか、身入りが悪くなる夏前に終了します。カナダ産ズワイガニの年間の水揚げ量は約100,000トンで世界最大です。(日本の約20倍、ロシアの約4倍、アラスカの約3倍)
◆海洋管理協議会( MSC) の認証を取得
ニューファンドランド・ラブラドール州で最高の価値を有し、カナダ国内でも最も重要な漁業の1つである同州のズワイガニ漁業が、2013年に海洋管理協議会(MSC)の認証を取得しました。独立した第三者の認証機関インターテック・ムーディ・マリン(IMM)の審査によるもので、今回の認証はMSCの国際基準に則った漁業として200番目に数えられます。
MSCとは?
◆ニューファンドランドのズワイガニ漁業について
この漁業は、カナダの排他的経済水域(EEZ)内のニューファンドランド・ラブラドール沖で行われており、いくつかのカニ管理エリア(CMA)内の国際水域に隣接しています。今回の認証単位は、2J、3K、3L、3Psのエリア別に4つの単位に分けられています。 漁獲は、円錐形のカニかごを用い、地域や年によって異なるものの主に春先から開始されます。天候や氷の状態などで開始時期は変わりますが、これは交配の時期を避け、夏に脱皮直後の柔らかい甲羅を持つカニの漁獲を減らすためです。
◆生産能力の高い陸上工場で製品化
漁獲量が多く、漁期が限定されているという漁業の性質と、カニを生きたまま加工する必要性から、ニューファンドランドには加工能力の高い、非常にたくさんのカニ加工施設があります。持続可能な豊富な漁獲量と、生産能力の高い大型工場で鮮度を落とさず、質の高い製品を安定供給できるところが、ニューファンドランドのカニの特徴であり、日本の料亭や民宿の料理人だけでなく、世界の高級ホテルのシェフから評価されています。
風味や食感については、店長@田辺の個人的感想になりますが、アラスカやロシアなどの他の産地のカニと比べて、甘エビのようなねっとりとした食感と、後をひく甘味が一度食べると病み付きになります。






ただ今の時間は夜の9時。夕焼けがきれいです。



「New-Wes-Vally(ニューウェスバレー)」を目指してレンタカーで移動!。





シグナル・ヒルの山頂に建つカボットタワー。










早速、工場の中に入ってみると・・・






工場搬入 → 洗浄 → 脱甲 → 選別(今ここ)
サイズ選別以外にも重要なのが、身の詰まり具合の選別です。いくら好漁場で旬の時期に限定して漁獲しているとはいえ、個体差があります。この工場では、身入りの良いものは日本向けのラインに流し、身入りが少ないものはアメリカ向けの食べ放題などに流す仕組みがあるため、安定した製品づくりが可能となっています。

Q:黒変(こくへん)とは?
Q:酸化防止剤って?


マイナス18℃のブライン溶液に漬け込み、わずか30分間で急速凍結します。
◆エアブラスト凍結(凍結まで約3時間)
◆ブライン凍結(凍結まで約30分)
◆凍結速度と品質について
緩慢凍結の場合には氷結晶が大きくなり、細胞を破壊し、解凍時にドリップと一緒に旨み成分が出てしまいます。
急速凍結の場合は、結晶は多数の微細結晶になり、細胞破壊を起こしにくくなり、解凍時のドリップも少なくなります。

っということで、店長@田辺の実食!

風味や食感については、店長@田辺の個人的感想になりますが、
アラスカやロシアなどの他の産地のカニと比べて、甘エビのようなねっとりとした食感と、
後をひく甘味が一度食べると病み付きになると思います!

明るいですが、すでにPM7時です。



「これを飲まないとニューフィー(ニューファンドランドの人)とは認めないよ」と、
レストランのオーナーから渡されました・・・。










資源保護のために厳重にチェックしています。
規定よりも小さいサイズのカニを漁獲していないか、メスを漁獲していないかなど、
そうこうしているうちに、また違うカニ漁船が漁を終えて港に戻ってきました。

こちらは、隣町で水揚げされたカニがトラックで運ばれてきました!











っということで、漁船のある隣町の「ニュータウン」まで車で移動…


ここカナダでは大型(約20トン)、中型(約10トン)、小型(約5トン)の3種類ありますが、
大型船だと行って帰って3日間ほどかかるので、さすがに今回は日帰り漁の小型船です。
それでは念願のカニ漁に出港!

3時間ほどかけて漁場へ。移動中にカゴの中に入れる餌(イカ)を仕込みます。


3時間ほどかけて漁場へ。移動中にカゴの中に入れる餌(イカ)を仕込みます。

毎年の資源調査に基づき、それぞれのエリアで魚種別に漁獲量が制限されています。


時には数十メートルにもおよぶ巨大な氷山が近くに来るそうです。
(あのタイタニック号は100メートルを超える超巨大氷山にぶつかって沈没したという説も。)


この作業を1回の漁で4~5回繰り返します。休む間もなく、かなりの重労働です。

港に戻ると、すぐさま工場に運ばれます。


カナダ産のカニの買い付けは大手水産商社に仲介に入ってもらうのが一般的で、現地でのカニの検品や値決め交渉は専属の商社マンが行いますが、メールや電話だけのやり取りでカニを仕入れするのは、越前かに職人という肩書もあるのに、正直どうなんだろうという思いがありました。どうせなら、カニの漁獲から工場での加工、製品づくりの一部始終を視察し、納得したものを仕入れしたい。そんな思いから今回のカナダ買い付けの旅を決意しました。
実際に行ってみるとカナダでもトップクラスの巨大カニ工場で、想像を絶する規模にびっくり。なんと1日に100トンのカニを加工できるんです。そこに商談に来るのは株式上場している大手水産商社の人たちばかりで仕入れするカニのボリュームも1本18トンのコンテナを10本とか20本…という感じです。当店はというと、今年初めての取り組みということもあり、最小単位であるコンテナ1本の約18トンのみ。(最小単位といえども数千万円の仕入れですが…汗)
商談終了後に、もしよかったら夕食を一緒に食べようと工場のオーナーに誘われたので自宅に行ってみると、奥さんや子ども達も一緒です。そこでオーナー自ら焼いてくれた500gの特大ステーキと、お気に入りの赤ワインをご馳走になりました。初めて会ったのにどうしてここまでしてくれるのかと聞くと、「大手水産商社は取扱量も多い重要なパートナーだけど、あなたはファミリーだ。これからも応援しているよ。」と言ってくれました。大手水産商社と比べると取扱量は圧倒的に少ないけれども、わざわざ日本からカナダにやって来て、甲羅組のユニホーム姿で楽しそうに漁船に乗ったり、工場の写真を撮りまくっているのが新鮮だったのかもしれません。笑
単なるリップサービスかもしれないけど、カニに対する真剣な思いがオーナーに認められたようで素直に嬉しかったと同時に、来年も再来年も継続してここの工場のカニを取り扱いたいなと思いました。
これからも良質のカニを求めて、店長@田辺の買い付けの旅は続く…
完
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